ハリー・ポッターとブラック・プリンセス 後編

日曜日。朝の厳かな雰囲気の中、ホテルから平城宮跡まで歩き、初めて見る太極殿前で閉まる門に向かって「Open Sesame!」と杖を振るったが、びくともしなかった。

神社と寺だったら、圧倒的に神社が好きな私は、京都ではまだ行ったことのない神社を中心に回ることにした。まず、上賀茂神社。11月3日から文化財特別公開が始まっているおかげで、普段は入れない本殿近くの内側まで行けるのよ!説明もとても丁寧で、特別拝観料以上の価値があった。
そして、「重軽石」で自分の未来を占うべく、今宮神社へ。それがねー、願をかけたその前後で全く石の重さが変わらなかったわ。それって叶うの、叶わないの?傷心を癒すべく(?)近くの大徳寺へ。この寺社群、普段は拝観謝絶なんだろうけど、なんだかよい街並ね。「聚光院」にさくっと入って国宝の狩野派襖絵などを拝見した後、茶室などについても説明を受ける。

その後は小説「金閣寺」の世界。主人公の修行僧は織田信長公が祭られる建勲神社でおみくじを引いて、「旅行―凶。殊に西北がわるし」とのお告げに、わざと西北方向の旅行に出かけるのだが、私も真似してみくじを引かねばな、イヒヒヒとブラックな心が頭をもたげた。結果は十一番「吉」で非の打ちどころがない素晴らしい運勢。社務所の方も「うちは凶が多いと言われてますが、吉運のみくじですな。」とのことで、やはり悪いことはできないもんやな。昔から織田信長とは気が合いそうな感じがしてたけど、これほどまでとは…。
外国人で賑わう金閣寺でも方丈を特別拝観させてもらい、お庭へ。こんなに特別拝観ばかりしていたら観光ビンボーになりそう。舎利殿の屋根の鳳凰が翼を広げる姿が三島の小説どおり、時空を越えて飛んでいるようであった。

下鴨神社でも特別拝観をした後に、相生社で二本の木が途中で一本に結ばれている「連理の賢木」を見た。テープでくっつけてるんじゃない?などとすぐ確かめたくなってしまう探究心をどうにかしたい。

もう神社仏閣観光には満足したので、四条河原町付近のレトロな喫茶店で休んだり、みやげものを探したりで、ゆっくりしましたとさ。
紅葉には少し早いけど、穏やかな気候の中、秋を感じられるよい旅なのであった。