ギリギリセーフ!ギリギリアウト?警報を鳴らす女。

昨日の朝のことである。早めに家を出た私は車で3分、CDを1曲聞き終わらない距離にある会社にたどり着いた。なぜか通用門を右に曲がる駐車場はいつも空いている。私はそのままヘアピンを描くように通用門のすぐ隣のスペースに止めようとした、いつも通りに。
ところが。
車は予想に反し、急に浅い縁石を乗り越え、前方の芝生へと突進していった。このまま重力に従って坂を下ると1メートルで鋼鉄の通用門にぶつかってしまう。思わず衝突に備えて顔を伏せたが、あきらめている場合ではない。必死で左にハンドルを切った。なんとか門への衝突は免れたがこのままでは生垣に突っ込んでしまう。さっきは間違って踏んでしまったアクセルの代わりにブレーキペダルを踏んでようやく車は止まった。
だがしかし。
うちの会社では不審者の侵入を防ぐために通常の出入り口ではない境界線近くに赤外線を張り巡らしている。そのセンサーに触れてしまったらしく、とんでもない警報が鳴り出した。近くの建屋から飛び出してくる人。朝早いので人影はまばらだ。ここは落ち着いて普通の駐車スペースに車を戻すしかない。そのように対処していると、問題はないと判断したのか、作業着のおじさんはもとの持ち場に戻ったようだった。

その後事務室で警報を鳴らしてしまったことを詫びたが、その記録が一目で分かるように残っていなかったため、それほど一大事とは捉えれらなかったようだ。居室に行って、お湯を沸かす準備をしていると、別の部屋の女子が挨拶をしてくれた。「Claudiaさん。今日、随分芝生のほうにはみ出していたようですけど、何かあったんですか?」
この子は大学生の頃、田舎道で田んぼに突っ込み、車を大破させたことがある。いや、ブレーキとアクセル間違えちゃったみたい…と言っても、怪我がなくてよかったですね、で会話は終了してしまった。内心の焦りとは裏腹に、一見何事も起きなかったかのようないつもと同じ日常の静寂に、自らの悪運の強さを確信しつつも、深いため息をつくのであった。はぁ〜。