殺意は長く続かない。

私の会社人生の中で一つ不思議なことがある。同じ部署や関連部署の方で、「この人とは仕事がやりにくいなぁ。はぁ〜。(SIGH)」と思っていると、お相手の方が海外駐在になったり、共同研究で大学に出されたりして、しばしいなくなる。その間に私の方が転職して永遠に(とは言えないか)おさらば。
先日、久々に殺意を覚えた取引先のおやっさん。今日はおとなしい…と思ったら、3月末に退職すると突然のご挨拶。奥様と娘さんが重病らしく、勤務形態を変えないといけないとのこと。病名を聞いて凹んだところに、「確かClaudiaさんは、山中先生のお弟子さんでしたよね?iPS細胞を使った再生医療で早く病気が治る日を待っています。よろしくお願いいたします。」とさらにメチャぶりがきた。えっとー、山中先生がうちの大学院に来た頃はとっくに卒業していてかぶってないし〜、今の仕事内容を考えても、抗体医薬の低コスト生産ぐらいにしか寄与できないこと知ってるでしょ。しかし、再生医療を学んでも結局は何の役にも立っていない自分のことを少し恥じた。QOLを上げる医療には賛成しても、十分長い寿命をさらに伸ばす医療の無意味さには賛同できず、結局そういう道には進まなかった。ただ、今日の話を聞き、遺伝病だけは不公平だと思うのであった。ライフサイエンスの分野はまだ分からないことも多いし、次々に判明する事実が示唆する新しい生命観も大変面白いので、専攻してよかったとは思うものの、この業界で自分がどういう仕事をするのが一番よいか?がとても悩ましい。
しかし、Mid life crisisではないけれど、会社での仕事も煮詰まった感がある現在、残りの人生を何をして生きるかについては、岐路に立たされているとひしひしと感じる。近いうちに答えを出さなくてはならないだろう。