ダリと私 - シュールレアルな物語 -

私は基本的に「面白さ」「新奇さ」を求めて生きているので、ダリの奇抜な発想と確かな表現力には心惹かれるものがある。奥さんのガラ一筋なところも好感持てるし…と思っていたら、次の本を読んで、夫婦共々、しょうがねーやっちゃなぁと。

贋作王ダリ―シュールでスキャンダラスな天才画家の真実

贋作王ダリ―シュールでスキャンダラスな天才画家の真実

この本はダリの贋作を売りさばいて巨万の富を築いたにわか美術投資家の男が、(まだ見ぬ)ダリの真実の姿を追って、彼と親交のあった人からイメージを構築していくというストーリー。だまされた顧客から紛糾されたり、スペインで未来の妻と巡り会ったり、とても刺激的な内容である。
ダリとガラのアメリカでのご乱行にはちょっと幻滅。シュールレアルな着想を得るため(?)にアンディ・ウォーホルも巻き込んで、ドラッグ&乱交パーティーを盛んに行っていたようだ。ダリの注文どおりにしてくれた参加者には、額入り証書付きサインが配られるという報酬システム。一度、ワトソンとクリックも普通のパーティーだと思って顔を出したようだが、ダリのキテレツさに突然飛行機に乗り遅れそうだとそそくさと逃げたそうだ。
ダリはベラスケスやフェルメールなどの巨匠と比較したら自分は出来損ないと謙遜していたが、ピカソよりは上と思っているのが面白かった。
ダリ語

なんでもいいから、人に注目されることをしろ。人殺しでも、ホテルへの放火でも、猥談でもいい。とにかく何かをしろ。

ダリ:ダリを越える天才はダリだけであ〜る!
レポーター:ご自身を神になぞらえるおつもりですか?
ダリ:ダリが神ならこの世にダリは存在しなくなり、それは人類の悲劇であ〜る!

芸術家のパッションと狂気を感じる興味深い本であった。ダリのキャラクターにはがっかりするけどね。
以前、刺激を求めて起業家の本を集中して読んでいる時期があったけど、これからは芸術家の本を読むのもいいかもしれない。現在は村上隆の「芸術闘争論」を読書中。